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Red Hearts 18話

第18話『問答無用です』

さて、大会Bランクの試合が始り、現在エレの試合が終了したところである。

勝敗はというと、エレの方は心が読む事で先読みができるため、傷を負うこともなく勝利した。味方としてついているままなら心強いのだが、今回は闘技大会。当然、彼女とリオナとの戦いが待っているということはわかっていることだ。そうなれば厄介な相手であるということはまず間違いない。

「厄介ねぇ・・・そうだな、厄介かもしれん」

そう口ではいいながらも、笑みが少しだけ漏れているリオナ。相変わらず楽しそうなリオナを見て、ティニーも少しだけ微笑む。

「頑張ってね、お姉ちゃん」

励ましのメッセージを優しく投がかけるティニー。コクリと、リオナは何も言わずに頷く。

「頑張ってねリオナちゃん。でも、エレを甘くみない方がいいわよぉ~?ふふ」

脅かしながらもちゃんとした冗談で、励ましながら言うリィナ。リオナは鼻で笑いながら、

「フン、悪いな!勝つのは俺だ!・・・んじゃ、そろそろ控え室に行ってくるとするぜ、暫くはココに戻るつもりはねぇから、それまで俺たちへの応援、サボんじゃねぇぞ?じゃあな!」

シュバッ!とその場を立ち去ったのだった。


彼女達の戦い、期待すると同時に不安が過ぎるのがティニー達にはわかった。何か、何かが起こる気がする―、そう感じていたのだった。





一方、一応ライバルであるレヴィア・レイジの方では、丁度彼女の試合が始まる頃であった。

≪さあさあ、Bランクの試合も続きまして、Bランク内では淑女と呼ぶに相応しい天才少女、メガネの輝きは、今日も何を見せてくれるのでしょうか!!前回の大会のBランク優勝者でもあります!その名もレヴィア・レイジ選手ゥウウウ!!≫

中指で眼鏡の位置を整えながら出場するレヴィア。相変わらずの冷静さを保った顔つきで、周囲を寄せ付けないオーラは変わらずといったところだ。チラッと観客の方へ目をやり、リオナを確認すると、再度真正面を向いた。

≪対するは、≫

「ちょっと待ったァ!!」

とここで、言葉の途中で遮る大きな声に、観客もろとも何事か!といった顔になる。

「シュバッ!」

自らの口で効果音を出し、闘技場内に飛び入りをし、そのまま宙返りし着陸した。マントをバサッと腕で広げ、

「自己紹介はこの私が!!私の名は”スパゲッティーニ・ペペロンチーヌ”!!その美しさと何よりも気高き我が名、そして太陽よりも煌びやかな我が剣の舞!まさに流れるスパゲティーの如し!相手が女性といえど、私は容赦する気はない!覚悟はよいですかな!!」

(決まった・・・!)

最後にレヴィアに止めのウィンクを投げつける。レヴィアはそのウィンクを回避、思わぬ相手に呆れてしまう。そして観客の方もどこからも反応がなく、そして聞こえてくる声は”また始まった・・・”といった声ばかりで、もはやここ一番の”お約束キャラ”、といってしまってもいいだろう。

≪え、えーっと・・・≫

このベテランアナウンサー、こうなる事は実は分かってはいたことなのだがいざやられてしまうとどう反応したらいいか、プロでもわからなくなる。

≪と、とりあえず試合開始ーッ!≫

そのままゴングを鳴らし、試合を始めさせた。困った時のゴング頼みという事だろう。

「あなたみたいなわけのわからない人と戦うのは少し骨が折れますから・・・すぐに終らせます」

レヴィアはチャキッ、と折りたたんでいた槍を取り出し、構えた。

「出来るものなら!!」

ペペロンも切っ先をレヴィアに向け、攻撃態勢をとる。

「こちらから仕掛けさせてもらう!おおおおッ!!」

間合いに入った瞬間、剣がまるで剣山を連想させるように、高速の突きを繰り出した。

「奥義”カペッリーニ”!!私ほどになるとこうまでになるのだ!!」

ペペロンの突きを必死に避けるレヴィア。

「確かに、一筋縄では行きませんか・・・」

そして避けているうちにリングの端という端、いわば壁際、ペペロンは勝利を確信した顔で、

「今こそ勝機、まさに私の勝利が確信した時!喰らえ!螺旋奥義!”エリーケ!!”」

まさに螺旋、大きな竜巻を起こし、そのままレヴィアを上空へかち上げて、竜巻の真空波でレヴィアが切り刻まれていく。

「ぐああああああッ!!」

≪こ、これはどうしたことでしょうか!!優勝候補のレヴィア選手、このままでは1回戦敗退だァーッ!!≫

「アルデンテ!!」

竜巻が止み、上空に飛ばされていたレヴィアは力無く地へと落ちた。

「さあ、勝利のゴングを!鐘を!!祝杯ッ・・・」

「はぁ、目の前の事しか見えない愚かななあなたには困りものですね」

え?と思い、声の主が喋った方向、つまり後ろを振り返ると、そこには上着のないシャツ姿のピンピンしたレヴィアが立っていた。

「敵に後ろを見せて、随分と余裕なのですね」

≪あ、あ、あ、あれ?先ほどまでやられていたと思われていたレヴィア選手が、スパゲッティーニ選手の背後を取っています!これは・・!?≫

「ア、アレ、ま、まさか」

さっきまでやられていたはずのレヴィアの方を見てみると、そこには先程までレヴィアが握っていた槍に上着を着せたものが落ちていた。

「どこかの国の文献を読みました。確か”身代わりの術”だとかなんとか。やってみるものですね」

あっさりやってのけてしまう方が凄いと思うがさておき、ペペロン絶対絶命である。

「卑怯!後ろをバッ」

「問答無用です」

手刀でペペロンの急所に一撃を与えると、そのままペペロンはパタリと倒れ、ぐったりと気絶してしまった。

≪しょ、勝者レヴィア選手!!先程の名乗りあげは一体何だったんでしょう!!!このままレヴィア選手は2回戦へ進みます!≫

伸びているペペロンを後に、スタスタと控え室へ去っていくレヴィア。

(茶番など必要ありません。なんとか勝ち上がってください、リオナさ・・・)

再度リオナを確認しようと、客席を振り返ってみると、そこにリオナ達の姿は既に無かった。恐らくリオナの事なので途中から抜け出したのだろう。

「・・・」

何事も無かったかのようにレヴィアは控え室へと戻ったのだった―。





控え室に戻ると、レヴィアにとって消息不明だった男の声がした。

「レヴィア、2回戦進出だな、おめでとう」

クロスである。クロスはレヴィアの勝利を祝うも、まだまだ冷静な顔で、

「いえ、喜ぶのはまだ早いです。決勝まで・・・勝ち続けなければなりませんから」

ここまで決勝に拘るレヴィアに最早何も言うまいと、クロスは鼻でフッと微かにだけ笑い、

「観客席にて応援してるから、俺の分まで頑張ってくれ」

と、一言励ましを残して観客席へ行ったのだった。

「・・・負けるわけにはいきませんから・・」

それぞれの意気込みは力になるだろう。

彼女達の命運は果たして―。

行方は―。

そして、リオナ達の、いや、リオナの無限の胃袋は止まる事を知らないのだろうか―。

「はっくしょん!だ、誰か俺の噂でもしたか?モグモグ」

「?さぁ・・・?それより・・・僕のゴハンがお姉ちゃんのくしゃみで・・」

「・・・・・ゴメン」





全ては神のみぞ知るといったところであろう。

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