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Red Hearts 12話

第12話『少女の見張り役、場合によっては』

泣き疲れ、眠ったままのマリアを見下ろすレヴィア。レヴィアはまだ真夜中だが彼女の頭を撫で、それからそっと気づかれぬよう、マリアの家を後にした―。


そして翌朝。マリアがいつものように朝の支度をしなきゃ、と思い、寝ぼけ眼だが目覚めようとする。いつもの朝には間違いはなかったのだが、彼女としてはもう一つ、足りない者があった。

「あれ?・・・レヴィアさん?」

ベッドから辺りを見渡すも、見当たる影は一つもなかった。・・・とりあえず起きてレヴィアの状況を確かめるため、ベッドから立ち上がり、台所へ向かった。

「レヴィアさん!・・・あれ?この紙・・・」

台所にあるテーブルの上にはなんと置手紙が置いてあった。この紙にはこう記されている―。

【最初に申し上げておきます。ごめんなさい。私は根無し草なので、長居はできない身なのです。直接言う事ができなかったことをお詫びします。そのお詫びと、一飯の恩として一つプレゼントをします。・・・それともう一つ、もしこの近くに私がもう一度立ち寄る時が来たのなら、そのときはまた。それではマリア、お元気で】

レヴィアらしい、真っ直ぐで綺麗な字で書かれていた。マリアとしては一つ引っかかる。プレゼント、とはいったものの、それらしいものは置いてない。すると、外からチリンチリン・・・という、鈴の音がする。

「・・・もしかして」

その言葉の通り、玄関の扉を開けると、近くにある木の枝で待機していた。マリアに気づいた鳩が近寄り、マリアもまた、片腕を突き出し、ハトを腕に乗せた。そう、レヴィアのプレゼントとは、この一匹のハト、ではなく、伝書鳩がもっていた―。

「これ・・・薬草・・・?」

鳩の足に付いていた小筒には、マリアの求めていた薬草があった。小筒を取り外したのを確認したなり、鳩はそのまま、青い空のどこかへと飛んでいった。


その空を―、レヴィアも見上げながら歩いていた。

「・・・・・彼女もこういう気持ちだったんでしょうね」

清々しいという表現が尤もだった。今回のような出来事は初めてではないが、今回のような清々しさは久しぶりだった。

「マリア・・・また会いましょう、いつになるかは未定ですが」

心地よい風にレヴィアの長い髪が靡く(なびく)。レヴィアは、今日もまた、長く険しい道のりを歩き続ける―。

―というのも束の間、レヴィアが目の前を見ると、黒く長いコートを着て、頭にはフードを被った人が、こちらへと歩いてくる。その人から感じるものは、殺気・・・とは違う、なにか別の―。レヴィアが暫く考え込んでいたところで、接触する。

「君は、マリア・スレイに会ったかね?」

この言葉に疑わずにはいられなかった。

「・・・会ったら何だというのです?あなたには関係のないことでは?いえ、それ以前に、彼女との関係はなんなのですか?」

冷静に問い詰めるが、

「おいおい、質問は一個にまとめてくれよ、まあいいけどね・・・関係・・、そうだな、俺は彼女の見張り役さ。変な男に襲われないようにするとか、強そうな魔物に襲われないようにするとか、『彼女が何かしでかさないか』・・・とかね」

十分に危なそうなこの男らしきフード面から出た最後の言葉だけはどうも引っかかった。

「・・・何かしでかす?彼女が?どういうことなのですか?それよりも、人と話す時はフードくらいとったらどうです?」

不安でならなかったこの疑問と、彼の正体を知るために、レヴィアは多少強引に、その男のフードを取り去った。すると中から出てきた男とは―。

「・・強引だな君は、まあいいさ、名乗っとこうか、俺の名前は『クロス・セイヴァー』。ま、この通りしがない見張り人なものでして・・・」

クロスは微笑を浮かべて見せるが、レヴィアにはどうも気にかかる雰囲気だった。

「・・・しがない見張り人が、どうしてこんなに殺気を持ち合わせてるんです?いや、それより彼女がなんなのですか?!いい加減答えてください!」

少々怒鳴り気味にレヴィアがまたも問い詰めると、クロスはククッ、と笑いながら、

「聞きたいか?いや、聞く聞かない以前に、君は彼女と一夜を共にした・・・といったら誤解を招く言い方だが・・・マリアは」

フゥッ、とため息を一旦吐き、

「彼女は・・・『魔族』だ。いや、詳しく言うと、彼女には母親が・・まああのような不治の病にかかってしまった母親がいるが、本当は魔族の娘だ。生まれてからすぐに地上に落ちてきた彼女だったのだが、たとえ魔族の娘とは言え、魔物に噛まれてはやはり一溜まりもない。けど偶然にも、こちらの母親に引き取られ、『人間として暮らす魔族の子』として今まで育ってきた。もちろん、彼女は自分が魔族であるということは・・・」

クロスは話が一段落ついたところで、髪を掻き揚げ、最後に一言、

「知らない」

レヴィアには少し信じがたい話だったが、しかし今はこの男の話を信じざるを得ない。もし魔族だとしたらそれこそ一大事なのだからである。下手したら昨日見かけたチンピラごとき魔族としての血が覚醒したならば、人の命を根こそぎ絶やすことなど造作もないことだろう。ただ、やはりそれだけは考えたくない。

「さすがにこのことに対してG-Aのギルドマスターはこれに対応すべく、任務完了が不定のミッションを立てた。それがこの仕事。特別、というものではないが、普通のよりも危ない仕事でね、なにしろ下手したら首が吹き飛ぶ」

首を掻っ切る仕草をしながらクロスは言う。

「もし覚醒などを彼女が行った場合は、俺たち請負人が・・・そういうことになってる」

真面目な表情で、レヴィアへと語る。

「まあ、何事も無いのが一番でね。できればそういうことはナシにしてほしいところだけどね」

と、語っている途中で、レヴィアは質問をする。

「では、何故あなたはこの仕事を請けたのです?」

ただ単純な、しかしそれだけでも難題な問題を吹っかける。クロスは少し迷いながら、

「ま、お金がいいっていうのはあったんだけどね。誰も『少女の見張り役、場合によっては殺害』なんて知った暁には、誰だって・・・ねえ。相手が魔族といえど、見た目は全く変わりのない。多少変わりがあるのなら別なんだがな、あそこまで人間に似てるとこっちまで心が痛むんだよ」

ただならぬ仕事であるということはレヴィアも理解できた。本当に、マリアに何事も無ければ。そう願うのだった。・・・これ以上は重過ぎる話なので、レヴィアはマリアの事を心に留めておきつつ、話題を切り替えた。

「・・クロスさん、そういえばあなたは大会に参加しないのですか?確かに仕事も大事ですが」

とりあえずレヴィアがそう聞くと、クロスはまたも困った顔をし、

「そうなんだよな。俺の代わりにも仕事してるやつは一杯いるわけなんだがな、このまま何も起きない、なんてことも考えられん。・・といいたいところだが」

やはり多少興味あるという顔でクロスは、

「ま、参加してやってもいいかな。このまま本当に何も起きなかったら、何のために働いてたかわかんねえからな。ま、たまにゃ休暇だ休暇」

休暇という言葉にレヴィアが反応し、

「・・・今度はえらく怠惰なのですね」

微笑みはなかったが、クロスは笑みをこぼしながら、

「はは、なんだよ、参加しないのかって聞いたのはアンタだぞ、それにいいんだよ、ここんところ、ちょっと刺激が欲しかったところだからな」

「ええ、そうでしたね」

単調に返すレヴィアだった。

「ま、いいさ、んで、大会だっけ?場所はどこなんだ?」

そう聞くと、レヴィアは、

「ブルク城です。ここからは近いので、1日以内に着くことが出来ますね」

その答えに、クロスは頷きながら、

「ふーん・・・ブルク城ね・・・ふんふん・・・それから」

そして更に何か言いたそうにしていたクロス。その彼の言った言葉が、

「ブルク城ってどこだっけ」


「・・・・・・・・・・・・・・・はぁ、ご一緒しますか?」

溜め込んだ溜息を、吐いてそう誘うと、クロスは嬉しそうに、

「お、助かるよ。ここんところこういう仕事ばっかだったからな、他の場所に行った覚えがなくってね」

レヴィアは呆れた顔で、

「はぁ、そうですか・・・なんにせよ、行きましょうか、時間もありませんし」

大会まであと3日、残り少ない時間を、鍛錬の時間のために欲しいレヴィアとしても、先にブルク城に着いておく事が最重要なことであった。

それにしても、レヴィアの胸のつっかえは、取れないまま残っていたのだった―。

(マリア・・・どうか無事でいてください。次に会うまでに、ずっと、必ず・・・・)

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