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Red Hearts 30話

第30話『準備はいいか、お前ら』

「う・み・だーーっ!!」

船の速度に合わせて吹き付ける潮風を浴びながら、リオナは甲板の上で気持ちよさそうに唸った。

「うんっ、これが海かぁ……。
広いなぁ」

海に対する思いの内を語り合うティニーとリオナ。
とはいうものの、生憎の曇りとなり、今にも降りそうな雰囲気である。

「あはは、まさか臨時船なのにここまで大きいなんて聞いてなかったもんねぇ……まさに豪華客船貸し切り状態ね!
……曇ってなけりゃ気分もいいのに」

リィナの言葉通り、この臨時船は先程並んでいた豪華客船程の大きさはないが、それでも十分走り回れる程の広さがあった。

「……」

エレは無言のままだったがその表情は穏やかだった。

「あーあ、晴れていてそれでいてこのキレイな海で泳げれば後は言うことなかったんだけどねー。
まあ、文句も言ってられないわよね。
なんてったって幽霊船がこのあと待ってるなんて誰も思いはしないわけなんだし……ね」

リィナの言うとおり、今回はG-Aとして幽霊船調査に応じた次第であり、遊びに来たというわけでは決してないのである。





と、町を離れ数分たった先、ここで船の速度が徐々に落ちていくのがわかった。
ほぼ波の動き任せくらいの速度まで落ちると、先ほどまで操縦していた船長がリオナ達へと近寄る。

「よし君達、目標のポイントについたぞ」

突拍子もない指示にリオナ達は思わず戸惑う。

「っていっても……幽霊船はどこだよ?
確かにいかにもって感じするけどよ……」

それ以上のリオナの言葉を阻むように船長が語る。

「それはこれからわかる。
風が……若干強くなってきたのがわかるか?
そろそろ来るぞ……」

船長の言葉通り、雲が厚みを増していき、あたり一面が夜のように暗くなる。
若干だが風のせいで船が揺れ足を取られるようになってきていた。

「た、確かに何か出そうな……そんな雰囲気よねぇ」

何故か霧が出てきたその妖しげな空気に彼女達は顔を歪ませていく。





しばらくしゆっくりと蜃気楼の中その姿を現していく存在をついに目の当たりにする。

ギィ……ギィ……。
と音をたてながら彼女達の目の前に現れたのは、一隻の古びた船。
その外装からは禍々しさすら感じるほどだった。

「あらぁー……あはは、なんとも趣味の悪い船で……」

リィナは目の前の船に腰を抜かし、完全に驚いてしまっていた。

「あの……これが船長がいってた幽霊船なんですか?」

ティニーの質問に、船長は当然と答えるかのように力強く頷く。
キッとした眼差しで目の前の船を睨み、

「そう、今私たちの目の前にある船こそが幽霊船だ」

と一言呟いた。

「こいつをこのまま放置しとくだけで、一体どれだけの支障がでるかわかったものじゃない。
……ここに船と船の間を渡るための長い橋がある。
幽霊船になるべく近づくので、それに伴い橋を掛けてさっそく調査してきてもらいたい」

「お、おい」

リオナの呼びかけにも応じず、船長はそのまま操縦室へとそそくさと逃げるように走って行った。
遠くの操縦室から船長の頼んだぞーっ!という声が聞こえたようだった。

リオナは頭を掻き、面倒臭そうな顔をしながらも、

「しゃーねー、やるか……引き受けた仕事なんだし」

渋々船長の指示に従うべく置いてあった立派な橋を持ち上げる。
見た目よりさほど重くないためか、両手持ちでなんとかなるようだった。
船も徐々に幽霊船との距離を縮めていき、橋が丁度届く程の距離になると、船長は操縦室から離れ、幽霊船と船の距離が離れないよう、しっかりと鎖のようなもので船と船の間を固定する。

それを見計らい、リオナ達も持っていた橋を幽霊船とつなげ、渡る準備は万端となった。

「……準備はいいか、お前ら」

リオナのその尋ねにコクリと3人は頷く。
そして彼女は船長へと軽く挨拶をすると、任務を開始した。

橋を渡るなり、ついに幽霊船へと足を踏み入れる。
足を床につけるなり、ギシッという、古びた木が立てる独特な音を立てた。

「霧で奥が見えなかったけど、入ってみれば結構大きいんだね……」

見えなかった部分が見える距離に入ったため、奥行きを確認するなりその広さに思わず言葉がでた。

「油断すんなよ、何が起こるかわかんねーからな……」

リオナの注意を促す言葉に他の3人が頷くなり、奥へと足を進める。
船の裏側へと回り込んだ4人の先には一つ、中へと侵入できそうな扉があった。

「中に入れそうね。
外は何もないみたいだし、一気に中を調べるのが一番の調査方法かも」

リィナの意見に全員が肯定し、いざ扉を開けようと力を込めて引っ張ったり押し込んでみたのだが、開く様子はない。

「……ッ!
鍵がかかってる……」

どうやら内側から錠がかけてあるようで、開けることができない。

「ちっ、どっか入口は……と、おい、下に降りる階段がこっちにもあるぜ?」

リオナが見る先には確かに階段があった。
その先へと足を進め、4人は階段は降りていく。

すると、その先にもう一つ扉があった。

「ここにも扉が……開くかな?」

ティニーがその扉のノブに手をかけたその時だった。
ギィ……と、まるで4人を招いているかのように扉が開いた。

「……へっ、上等だ、乗り込んでやる」

あくまで屈することはないリオナ。
頼まれた仕事をここで投げ出す事のほうがよっぽど彼女にとっては屈辱のようだ。

4人は遂に幽霊船の中へと足を踏み入れる―。

中に入れば埃の臭いが辺りからたちこめる。
目の前が真っ暗で、入口以外を見渡すことができない。

「灯りを作るか……丁度さっき船長の船で灯りになるもの、探しといたんだよな。
こんなこともあろーかと!」

自信ありげに取り出したのは蝋燭(ろうそく)だった。
丁度持ち運びができるタイプのようで、魔道で火を起こすなり、その蝋燭は灯りとなって辺りを照らしだす。

「さっすがリオナちゃんね。
今のままでも惚れちゃいそーなくらい頼りになるぅ!」

腰をフリフリと動かしリィナは茶化しながら彼女へ誉め言葉を述べた。

「バカ、それより奥に進もうぜ。
いつまでも同じ所にいるわけにはいかねえ……4人固まって動いとけば今はとりあえず安心だろ?
灯りも今はこれしかねえしな」

ちょっとだけふざけていたリィナも、真剣な眼差しに戻して了解の念を伝えたのだった。

彼女たちが歩く度、踏んだ床がギシギシと音を立てて非常に不気味に思えているようだ。
と、入口の扉が突然、バタン!と音を立てて閉まる。

「……閉じ込められた」

エレがさらっと口にした言葉に、他の3人は若干冷や汗を覚えた。

「あ、あはは……この感じだと一つの脱出経路が断たれたような……」

ポリポリと頬を掻き、リィナのその顔は青ざめていた。

「くじけんな、今はただ奥へ進むしかねえぜ。
俺の後ろ、絶対離れるんじゃねえぞ」

リオナの頼もしい言葉に、リィナは相手が女ながらも思わずときめいてしまったが、今はそれどころじゃないのも分かっているようだ。
黙って彼女の背中を追う事にした。

音すらも一切遮断されたような空気を持つその船内、そこでは耳鳴りがしてしまうほど不気味なほどの静けさだった。
聞こえるのは4人の足音のみで、そこだけ空間が別の場所にあるような、重苦しい雰囲気が漂う。

と、ここでエレの少しずつ顔色が悪くなっていくのにリィナはいち早く気づいていたようだった。

「エレ、大丈夫?
キツそうだよ」

エレはなんだか自分の体が重くなっていくのに気づく。
読心は完全に遮断したはず……と、心の中で思っているのだが、“何かの声”が彼女の耳をまるで虫が通り過ぎる時のように音がした。

「……大丈夫、でも声が聞こえる。
何かの声が」

とりあえずありのままは話したほうがいいだろうと思ったエレは今自分に起こっている事を語る。
リィナもその一言にゾッとしたが、それでも聞かせて、と言わんばかりに耳を預ける。

「誰かの……複数人の声……一瞬だけ聞こえた……でもこれ以上は奥に行かないとわからない」

エレはその事だけを話すと以後、口を閉ざした。

「まだ奥にはいけそう?」

その質問に、エレはコクリと頷く。

「うん、じゃあ引き続き奥への調査を始めよっか。
キツそうだったら言ってね、エレ」

リィナのこの言葉に同じく首を縦に振る。
すると突然、ガタンッ!と何かが落ちたような音がしたようだった。
3人は思わず驚きにビクッと体が反応した。
エレはそれが起こる事を知っていたかのように、動じていない。

リオナはその物音のした方向へ光を向けてみると、一つめの扉がそこにあった。

「何かありそうな場所その1ってやつだな。
入ってみるか」

辺りを警戒しつつ、近づいてドアノブに手をかけ、ゆっくりとその扉を開ける。

「中は……倉庫みたいだけど」

工具や掃除道具などがある部屋なのだが、蜘蛛の巣が張り巡らされていて奥に入り辛いようだ。

「ネ、ネコか何かじゃないのかな?
こういうの大抵そうなのよね~……。
ね、ね、こんなところ調べるのヤメにして奥に……」

と言いかけたところだったが、

「まあまて、こういう倉庫でも調べとく必要はあるってもんだ。
案外、なにかの鍵とかあったりして……。
ん、噂をすればあそこになんかあるぜ」

丁度ロッカーのような置物と壁との間に蝋燭の火の光に反射して光っている物が落ちている。
何か物が落ちているようだった。
彼女はそれを取るためよっこらしょという掛声をあげてその隙間に手を伸ばす。

「ん……もうちょいっ……っしょ、取れた取れた」

リオナが頑張って手に入れたそれは、本当に“何かの鍵”のようだった。

「ほら見ろリィナ、こんな重要なアイテムが落ちてるんだぜ、やっぱ調べて損はしなかったな」

得意気に笑みを浮かべてリオナはそう言った。

「あ、あはは、そうみたいね……そ、それじゃあここには何も無さそうだし……」

とリィナがそう言った途端、立てかけてあったモップが音をたてて倒れた。
それに驚いたのか、リィナは、

「きゃっ!」

思わず声をあげてしまった。
他の3人も、その倒れたモップに警戒心を抱く。

―が、そのモップを倒した犯人は、すぐに姿を現した。
可愛い姿をした一匹の黒猫だった。
そのまま猫は何事もなかったかのように倉庫部屋を去っていくのだった。

「も、もぅ……驚かさないでよ~……」

そんなリィナをくっくっくっとリオナは笑いからかう。

「あ~、いいもん見れたな。
重要なアイテムも手に入れたし次行こうぜ、エレ」

静かに頷くエレ。
むぅ、という表情をするリィナに、ティニーは、

「まぁまぁ、次行こ?リィナさん」

ふくれっ面になっているリィナをなだめるように言ったのだった。
彼女は、はぁ、とため息をつきながらも仕方なく前進することにした。





4人は足を進めているうちに、大きく開けた場所へとたどりつく。

すぐ目の前には通路が続いており、左奥と右奥には扉があり、すぐ近くには上り階段がある。
その階段の先はどうやら先ほど開ける事ができなかった扉へと続いてるようである。

「階段昇った先の扉は戻り用か。
とりあえずは帰路はあそこでいいとしてどれが奥へ行く扉か……だ」

腕を組み、リオナは2つのうち先へとつながりそうなどちらかの扉を見つめて言う。

「そうねぇ……どっちかを選べ、なんて結構無茶な話でもあるわよねぇ……。
私、結構優柔不断な方なもので……それに時間をかけてる暇もないしねえ」

リィナはそういい、両手の一指しでつんつんと突っつき合い、もじもじしている。

「なら、ちょっとだけ危険だけど少数ずつで動いた方がやりやすいかもな。
上り階段はいいとして奥に続きそうな扉が幸い2つに分かれてるからな。
二人ずつに分かれてってやつだがそれでいいか?」

その提案に多少考えた3人だが、すぐに頷いた。

「あのぉ……私リオナちゃんと一緒に行動してみてもいいかな?
いつもエレだったからたまには入れ替え!
ってな感じに……ね?」

リィナがお茶目にそう頼むと、リオナはあっさりと了承の返答を出した。

「じゃあ僕はエレさんとかな。
確かにこれはお互いを知るいい機会かも。
分担は良い提案かも」

ティニーはエレの近くへ寄りながら微笑みを浮かべそういった。
うんうんとリオナは頷きながら、

「んじゃ、早速二手に分かれるとすっか。
俺たちは右の扉へ行く。
ティニー達は左の扉から頼んだ」

「うん、わかったよ、お姉ちゃん達、気をつけてね!」

リオナは背中を向けながら手をティニー達に振り、そのまま右の扉へと向かう。





―と、次の瞬間、バカッとリオナ達の足元に大きな落とし穴として床のように見せかけていた扉が開く。
一瞬何が起こったかわからなかったリオナとリィナは考える暇もなく悲鳴をあげるしかなく、そのまま落下していってしまった……。

ドスンと地面に衝突したような音が外にまで響いた。

「お、お姉ちゃん達!
こんなところにトラップがあったなんて……大丈夫~!?」

ティニーは穴を覗きこみ、声をかけてみる。

「いってぇえ……だ、大丈夫だティニー、以外と浅くてなんとか怪我せずに済んだぜ……お尻は痛いけどな……。
それにしても、浅いとは言ったが登れる高さではねぇか……」

リオナの隣でリィナもいたたた……と尻をさすりっていた。

「ティニー、お前らはそのまま左の扉に向かえ!
この穴はあたりを見る感じ、どうやら下の階の部屋に続いてたみたいで奥に行けそうな感じだ……このまま進んでみるとするぜ!
なんかあったらクリスタルで話かけるんだ、いいな!
こっちもそうするからよ!」

そう指示すると、ティニーはコクリと頷き、

「うん、それじゃあまたあとで!」

そう言って、リオナ達が落ちた落とし穴を離れ、ティニーはエレの方へと向き直すのだった。

「それじゃあ、エレさん行こう。
早いところ調べて早いところお姉ちゃん達と落ち合おう」

エレは首を縦に少しだけ振り、肯定した。

4人は無事この幽霊船の謎を解明する事が出来るのだろうか。
果たして無事生還し、落ち合う事が出来るだろうか。

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