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Red Hearts 26話

第26話『お父さんとお母さんはどこ?』

リオナの出身地のリルダール村。
主に酪農村として有名な村であり、そこで作られるチーズや牛乳などは美味であることで有名である。
しかし今から九年前、この村で悲劇は起こった……。





その日のリルダールでは綺麗な晴れ間が差し込む良い天気だった。

「いってきます!お母さん!」

当時七歳のリオナの元気な声が響く。

「いってらっしゃいリオナ、気をつけてね」

そんな無邪気なリオナを送り出す母の名はキサラ・レッドハート。
旧名はキサラ・ソイフォンス。

当時からG-Aの剣豪だったガイと彼女が結婚してから、リオナを出産、それからもずっと幸せな生活を送っていた。

「あ!今日はお父さんが帰ってくるから早く帰ってくるのよ」

「うん!わかったー!」

その日は、父であるガイが久々に仕事から帰ってくるという事で、いつもの裏山で遊んで、早めにリオナは帰る予定だった。
いつもは友達と一緒に遊ぶのだが、その日だけは一人で裏山にて遊んでいた。
父の帰りをまだかまだかと心待ちにしながら、その時は山の頂上まで上ってしまうほどだった。





しかしそれから数時間後。

「……?あれ?なんかくさい……」

どこから臭うのだろう。
いつから臭っていたのだろう。
遊びに夢中になりすぎて、その臭いに気がつくのに時間がかかっていたようだった。
どこから臭うのか…。
臭いの出ている先へとひたすら歩く。

「あ、あれ?」

その先にあったのは、崩れた村の残骸。
七歳のリオナには何が起こっていたのか理解するのに非常に時間を要した。

「お、お母さぁん!」

叫び、走る。
当時の彼女にはそれしかできなかった。

向かった先は自分の家、母がいた場所、父の帰ってくる場所へ。

しかし、村の門を潜ってみればそこは地獄絵図だった。
村の人々が横たわり、壁には赤く滴り落ちる液体。
焦げ臭さと独特な臭いに、リオナは目が眩み、思わず嘔吐してしまった。

「リ……オナ……ちゃん?」

ふいに、瓦礫の近くで同年代の女の子の声がした。

「ファーラ!!」

その声がすぐに友達であるファーラのものだとわかった。
リオナは急いでファーラの声がした方へ駆けつける。

しかし……、

「リオナちゃん……?どこ?見えないよぉ……見え……ない……よ」

そのまま、目が見えぬまま彼女は力尽きてしまった。

リオナの頭の中は真っ白になった。
目の前にやってきた残酷な現実が、彼女をこれでもかと打ちのめす。

「いや……いやだ!お母さぁぁぁぁん!!!」

泣き叫びながら彼女は闇雲に走った。

今度こそ自分の家に。

お母さんなら大丈夫、きっと大丈夫―。






だが、その願いも無に終わる事になる。
家は崩れ、頭から血を流し倒れている一人の女の姿、母がそこにいた。
リオナはしゃがみ込み、必死に呼ぶ。

「お母さん!」

出血多量で、普通なら助からない。

しかしキサラは最後の力を振り絞り、リオナの涙に塗れた顔を見た。

「おかえり、リオナ……」

娘の前でもと、健気にいつものように振舞って見せた。

しかし、その様子でリオナにも何となく母が無理しているということはわかった。
くしゃくしゃの顔になっているリオナの頭を撫でながら、キサラは言った。

「泣かないで、リオナ……あなたは、私の分まで気高く……生きなさい。
そして……お父……さんの事……私の分まで愛して生き……て」

既にキサラの目の前はぼんやりとして見えない状態だった。
私はこの子を置いて死んでしまうのね、そう思いながら。
それでも、キサラは頭を撫でる事をやめなかった。

そして……。





「お母さんね……リオナと……お父さんといれて……幸……せ……だった……わ」





リオナを撫でていた手が、止まった―。

そしてそのままスルッとキサラの腕は地面へと落ちてしまった。

リオナがキサラの手を触った時には、もうほとんど冷えている。

暖めようと頑張ってさすってみたが、その暖かさはすぐに消えた。
いくら呼びかけても返事が返ってこない。
どうしてお母さんは笑っているのだろう。
笑ってるはずなのに、と。

父がどこにいるのかもわからない。
どうすればいいのかもわからない。
わからないからリオナはただ泣いた。
キサラの冷たくなった手を握り締めたまま、体中の水分がなくなってしまう程彼女は泣いた。





泣き続け……しばらくしてリオナはキサラの手を抱いたまま泣き疲れたのか寝てしまっていた。





そしてほぼ同時刻、ガイの方はというと、村を破壊した犯人、魔族へと既に成り下がっていたゾランダドスを取り逃がしてしまったところだった。

無念を噛み締め、荒廃してしまった村に戻るなり、キサラの手を握ったまま寝てしまっているリオナを見つける。

「……ごめんな、リオナ。
俺のせいだ」

まだ七歳のリオナをこんな悲しい目に合わせてしまった自分を恨んだ。
そしてゾランダドスを憎んだ。

リオナが握っていたキサラの手を、そっと離してやり、そのままリオナを背負い、知り合いのいる場所へと向かう。





リルダールの村から近いこの場所は元は荒廃した空き家だったが今ではある男の事務所となっている。

「アキト、入るぞ」

そう、親友のアキト・スタン・ライオットの事務所だった。

リオナをベッドに寝かせ、事情を話した後、

「押し付けてばっかりですまないなアキト、後は頼んだぞ」

その頼みに、アキトは頷く。

「ああ、親友の頼みなら、断れないさ。
……それで、これからどうするつもりだい?」

彼の質問に、ガイは少し時間を置き、それから紡いだ。

「……村のみんなの墓を作る。
せめてもの罪滅ぼしだ……それが終わり次第、リオナには暫く会わない予定だ。
多分リオナは、精神的ショックで記憶飛んでるかもしれねえから……せめて、今はまだ忘れたままでいてほしいんだ」

アキトはこれが彼なりの考えか、と納得した後、答えを出す。

「わかった。
なら、彼女が起きてもし何もかも忘れていたら、適当にはぐらかしておく。
村にも近づかせないようするし、話さないようにもする……これでいいのかな?」

「……本当にすまない、迷惑をかける」

彼の最大の心遣いに、ガイは目一杯感謝した。

「そうだ、アキト」

ガイは一つアキトの提案するべく振り向く。

すると、身に付けていた刀、コートを脱ぎ始める。
そしてG-Aの証であるクリスタルを取り外し、
壁に刀を置き、ハンガーにコートをかけ、クリスタルを机の上に置いた。

「こいつらをリオナのために置いていく。
もし、そいつがここを出る時になったら、こいつらを渡してやってくれないか」

「……ああ、わかったよ。
まかせてくれ」

ガイからアキトへと、リオナへの贈り物は託された。
ガイは再度玄関に振り返り、背中を向けアキトの事務所を去っていったのだった。





そして暫くして、リオナは小さい体をひょこっとベッドから起こす。

寝ぼけ眼であちこちを見渡すなり、あれ?あれ?などと呟いている。

アキトはリオナに近づき、

「えっと、リオナちゃん、久しぶりだね」

再会の挨拶を送る。

「あれ?アキトお兄ちゃん。
“お父さんとお母さんはどこ”?」

母と父がどこかと聞くその行動で、アキトは悟った。
ガイの言う通り、やはり彼女は記憶を無くしてしまっていたか……と。

約束通りにするため、アキトは適当にはぐらかす事にした。

「リオナちゃんのお父さんとお母さんは、ちょっとお仕事で遠い所にいっちゃったんだ。
お父さんのお手伝いでね。
それで忙しくて帰ってこれないかもしれないから、もし何かあったら僕に頼ってくれって」

アキトは出来る限り彼女を精一杯騙したつもりだった。

リオナは少し考えたが、

「うん、わかった、
アキトお兄ちゃんに頼る」

そのままあっさりと認可した。
彼女の大らかな性格のおかげでアキトは救われたようだった。

「でも、やっぱり会いたい」

リオナの口は正直だった。
不安な表情が浮かぶ。

「大きくなったら会えるかなぁ」

アキトはどう答えたらわからなくなってきていた。
それでもアキトは必死に、解答を探し出して答える。

「僕の事務所、剣の道場やってるから、強くなって会いにいったらいいんじゃないかな」

いつ会えるかも分からない上に、どこに行けばいいか分からない事。
途方も無い事なのかもしれない。
しかし、これが彼が出した答えだった。

「ほんとっ?じゃあ頑張って強くなる!」

そして村で起こった事実をそのまま思い出さぬまま、父や母に会うためにアキトの建てた道場で剣の修業を続けた。
大好きな父や母に会うためだけに。





それから八年後、七歳だった女の子は今より一個下だが十五歳になっていた。

「そろそろ行くのかい、リオナちゃん」

アキトの言葉にも、迷いなくリオナは答えた。

「ああ、俺は行く。
親父とお母さんに会うために」

ちなみに道場は男しかいなかったためか、この頃には完全に男言葉になっていた。
そして、性格も昔より男らしくなっていた。

「なら、これ、持ってってくれ、何も無しじゃ寂しいだろ」

アキトが差し出したのは、八年前置いていったガイからリオナへの贈り物。
大きなコートと、大きな刀、そしてクリスタル。

「これは君のお父さんの物だったんだけど、ここを出る時になったら君に渡してくれって頼まれてたものなんだ。
この旅で必要なものだと思うから貰ってほしい」

リオナはその贈り物に、微笑みで返した。

「ありがとう、絶対大切にする。
親父にお礼しないとな」

貰ったコートをバサッと音を立てて羽織り、背中に刀を背負い、クリスタルを着用して旅立つ準備は完了した。

「今までありがとうな、アキト兄ちゃん、またいつかここに来てもいいか?」

リオナの頼みも、アキトはコクリと頷き、

「ああ、もちろんさ。
もしお父さんにあったら宜しくいっておいてくれよ。
僕はまだまだここにいる予定だから、会う機会がないんだ」

笑顔でそう答えた。
それを返事代わりにリオナも頷いた。

そしてリオナはアキトの事務所を八年経ったその日、旅立つ事になった。

八年前起こった事実を、忘れたまま。

(神よ、どうか、これからのリオナちゃんに幸運を……)





しかし、リオナは更にその一年後の現在、自分に起こった事実を遂に思い出す事になるのだった―。

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